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技能実習生はどこの国が多いのか?国別に見る技能実習生の特徴も!

技能実習生とは、技能実習制度のもと外国から技能実習のために訪れる人のことです。一口に「外国人技能実習生」といっても、出身国はさまざまです。どこの国からの技能実習生が多いのか、疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

また、外国人技能実習生は日本語が上手な人も多いですが、文化の違いや国民性もあるので違和感を覚えることもあるはずです。事前にその違いについて知っておくことで、働きやすい職場作りにつながります。当記事では、日本にくる技能実習生の出身国や、国ごとの特徴を分かりやすく解説していきます。

技能実習制度の対象国

技能実習制度の対象国

厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、令和3年10月末時点で外国人労働者数は172万人を突破しています。外国人を雇用している事業所数は285,080か所もあり、コンビニなどで見かけることも増えてきました。

とはいえ、外国人技能実習制度で対象になっているのは下記の15ヵ国のみです。

  • インド
  • インドネシア
  • ウズベキスタン
  • カンボジア
  • スリランカ
  • タイ
  • 中国
  • ネパール
  • バンクラデシュ
  • フィリピン
  • ベトナム
  • ペルー
  • ミャンマー
  • モンゴル
  • ラオス

「外国人の議場実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」第一条によると技能実習制度の目的は、開発途上地域等へ技能を移転することと定められています。つまり、先進国から来た人については、技能実習制度の対象外となるということです。

法務省によると、令和3年度の外国人技能実習生の人数は171,387人です。外国人労働者数の10%近くは技能実習生だということが分かります。

技能実習生が多い国

技能実習生が多い国

15ヵ国から来ている外国人技能実習生ですが、法務省のデータによると令和3年度の業務統計上最も多いのがベトナムからの外国人労働者です。ベトナムからの技能実習生は9万人以上と、技能実習生数全体の53%を占めています。

ベトナムの次に多いのは、中国からの技能実習生です。全体の13.3%になる22,000人以上が来日しています。

最後はインドネシアからの技能実習生です。平成30年頃まではフィリピンからの実習生の数の方が多くなっていましたが、令和に入ってからはインドネシアからの実習生がフィリピンを上回りました。最新のデータによると、ほぼ中国と同じ21,651人で、全体の12.6%を占めています。

国別に見る技能実習生の特徴

国別に見る技能実習生の特徴

技能実習生本人の性格もありますが、国民性や文化の違いを知っておくとよりスムーズに受け入れができるでしょう。ここからは、国別にみる技能実習生の特徴について解説していきます。

ベトナム

ベトナム

ベトナムは技能実習生全体の半数を超え、今後も多くの技能実習生の来日が予想されます。ベトナム人の国民性として、非常に素直で褒めれば褒めるだけ伸びる傾向にあります。その反面、人前で叱られるとモチベーションが低下し、逃げ出す可能性も高くなるので注意が必要です。

向上心が高いのもベトナム人の特徴で、一生懸命に学ぼうという姿勢が見られます。ベトナム語はアルファベットなので、漢字やカタカナ、平仮名の混ざった日本語にはあまり馴染みがありませんが、向上心の高さから日本語力の上達も早い人が多い傾向です。

勤務態度も真面目なので、仕事をどんどん覚えてくれるでしょう。重要な仕事やステップアップした業務内容も早く任せられるようになるはずです。ただし、長期的に計画を立てながら行動することが苦手なので、スケジュール調整などはサポートしていく必要があります。

中国

中国

ベトナムに次いで実習生の多い中国。国民性としてまず挙げられるのは「素直」という点です。マニュアルにある内容はしっかりと、責任をもって行ってくれるので安心して仕事を任せられます。ただし、一歩進んだ仕事は苦手で、マニュアル外の仕事を自分で考えてやってもらうということはあまり期待できないでしょう。

また、プライドが高いので人前で怒鳴ったり厳しく指導したりすると、傷ついて失踪してしまう可能性があります。指導する際には、個別に呼び出し穏やかに教える方が効果的です。

さらに、自分の得になるかどうかのアンテナが敏感なので、報酬面でも配慮が必要です。過剰に好待遇にする必要はありませんが、待遇が悪く働いていることが自分にとって「得」であると感じない場合は辞めてしまうこともあるので注意しましょう。

初対面では愛想が良くない人も多いですが、打ち解けると仲間を大切にするのも中国人技能実習生の特徴です。時間をかけて少しずつ打ち解けられるように、職場環境を整えていきましょう。

インドネシア

インドネシア

インドネシアの高校では、第二外国語として日本語を選択する人も少なくありません。また、日本のアニメをインドネシア国内でも放送していたり、JKT48の活躍もあったりすることから親日家が多い傾向です。そのため、日本語の学習スピードは比較的早い方でしょう。

また、助け合い精神も高いので、親切で人当たりが良いのも特徴です。性格も温厚な人が多く、平和主義に物事を解決したいと思う人が多いでしょう。ただし、温厚な反面、のんびりした性格から時間や物事にルーズな一面もあるので注意が必要です。

さらに、インドネシアでは主にイスラム教が信仰されています。毎日5回の礼拝を何よりも大事にしており、豚肉やアルコールなど禁じられた物もあるので配慮が必要です。なお、異性との接触も望ましくないとされているので、うっかり握手などをしてしまわないよう気を付けましょう。

フィリピン

フィリピン

フィリピンでは英語が公用語として使われているので、日本語がうまく話せない人でも英語で意思疎通をとることが可能です。とはいえ、英語での会話に慣れてしまうと、日本語の上達スピードは遅くなります。語学学習能力は高いので、英語だけでなく日本語も積極的に使うようにしましょう。

明るい人が多く、イベントは盛大に行う傾向にあります。キリスト教徒が多いので、特にクリスマスやイースターといったキリスト教のイベントは大切にしています。場合によっては、優先的に休みを入れてあげるなど柔軟な対応が求められるでしょう。

パワフルなフィリピン人は、体が丈夫でいつも元気いっぱいです。病気による当日欠勤が少ないので、周りも助かるでしょう。フィリピン人の気さくで明るい性格は、職場の雰囲気アップにつながるに違いありません。

タイ

タイ

「微笑みの国」とも呼ばれるタイは、穏やかでのんびりした国民性です。仏教徒が多いタイの人たちは子供の頃から、相手に対して怒らないよう教えられているからです。世界一の親日国としても知られており、日本の環境にもすぐに馴染めるでしょう。

しかしながら、辛さや悲しみが表情に出にくいので、ちょっとした変化に気づいてあげる必要があります。ニコニコしているので気づきにくいですが、大変なことはないか、がんばりすぎていないかを常に気にかけておきましょう。

楽観的で大らかな反面、時間やお金にルーズなところもあります。自然体で気楽に生きたいという考え方が強いので、遅刻しないことの重要さは何度も伝えていく必要があるでしょう。とはいえ、礼儀正しくおとなしい性格のタイ人は、仕事も真面目にこなしてくれるので戦力になる可能性は高いと言えます。

技能実習生を雇用する際のポイント

技能実習生を雇用する際のポイント

ここからは、技能実習生を雇用する際のポイントを解説していきます。外国人技能実習生と上手に付き合っていくためにも、ぜひ参考にしてください。

短い文章で簡潔に

まずは「短い文章で簡潔に」伝えることがポイントです。普段何気なく使っている日本語の中には、日本人だからこそ分かる独特の言い回しや難しい言葉があります。ことわざや四字熟語などはできるだけ避け、分かりやすい言葉で説明するようにしましょう。

また、「服用→薬を飲む」「違和感→何か違うと感じること」「最寄り→一番近い」など、難しい言葉は簡単な表現に言い換えることがポイントです。

さらに、「バタバタしています」「お腹がペコペコです」など、オノマトペも日本人独特の表現です。直感的に理解できそうな言葉ですが、意外と難しいので気を付けるようにしましょう。

相手の国の文化を尊重する

次のポイントは「相手の国の文化を尊重する」という点です。同じアジア圏に住む人であっても、国が違えば文化もそれぞれです。食事のマナーや挨拶の仕方も国によって異なります。

たとえば、ベトナムでは年長者への敬意は日本以上に重要視されています。そのため、家族で食事をする際、年長者が手を付けるまでは若者も箸を持ってはいけないという風習があるのです。

一緒に食事に行ったときに、上司が手を付けないと技能実習生もなかなか食事をとることができません。また、イベントごとなども国によって重要度が異なるので、相手の文化を尊重しながら付き合うことが大切です。

根気強く伝える

「根気強く伝える」ことも重要です。そもそもの考え方が異なるので、一度伝えただけではなかなか理解してもらうことは難しいでしょう。たとえば、時間を守ることの大切さを伝えたところで、普段あまり時間を気にせずに生活している国の人がすぐにキビキビ動けるようにはなりません。

また、ゴミの分別なども外国人技能実習生にとっては難しい慣習のひとつです。ゴミの分別習慣がない人には、なぜゴミの分別をしなければないけないのかという理由から話さなければなりません。分別方法も複雑なので、イラストや写真を使って分かりやすく何度も伝えるようにしましょう。

相談しやすい環境を作る

次は「相談しやすい環境を作る」という点です。技能実習生に限らず、誰しも知らない外国の土地で生活していくのは不安が伴います。特に技能実習生は家族の帯同が認められていないため、家族と離れ一人で異国の地に来ているのです。

知らない言葉や馴染みのない文化の中で、仕事をするのは非常にストレスになります。「気軽に相談して」と伝えたところで、日本語もままならない状態で相談するのはハードルが高いでしょう。

プライベートでも食事をしたり、職場でイベントを催したりすることで、実習生との距離が近くなります。そのような工夫で相談しやすい関係を築いておくことで、トラブルの発生を未然に防ぐことができるでしょう。

日本語学習をサポートする

最後は「日本語学習をサポートする」ことです。ほとんどの技能実習生は来日前にある程度の日本語勉強はしてきていますが、人によっては最低限のレベルだけで「なんとかなるだろう」と楽観的に考えて来日する人も少なくありません。

日本語を日常会話レベルで話せるようになるには、来日後も日本語の勉強をすることが必要不可欠です。日本語が話せると、日本での生活を楽しめるようになります。悪い誘い文句などの判断もできるようになるので、トラブル防止につながるでしょう。

今後増えていくと予想される国は?

技能実習生が今後増えていくと予想される国

現在はベトナムや中国から来ている外国人技能実習生が多い日本ですが、今後も同じとは限りません。ベトナムは給与水準が年々上がっており、日本に来るメリットが少なくなってきています。わざわざ海外へ単身で働きに出るという選択肢を選ばなくても、自国での仕事で満足できるからです。

今後は日本との給与格差が大きい国からの技能実習生が増えてくることでしょう。具体的な国名を挙げると、フィリピンやインドネシア、ミャンマーやネパールといった国です。人口も増えてきているこれらの国からは、今後日本に来る技能実習生が増えてくると予想されます。

まとめ

日本に来る外国人技能実習生の出身国

日本に来る外国人技能実習生の出身国や、国別の特徴を紹介してきました。来日している外国人技能実習生のうち最も多いのはベトナムで、中国、フィリピンと続きます。特にベトナムからの来日技能実習生は全体の半数以上と、かなり多くの割合を占めていました。

同じアジア圏に住んでいるといっても、風習や国民性は国によってさまざまです。日本での常識が、相手の国では非常識に当たる可能性もあります。それぞれの文化や風習を理解し、外国人技能実習生が働きやすい環境を整えていきましょう。

さまざまな違いがあったとしても、同じ人間ですから誠心誠意向き合えばきっと打ち解け合うことができます。単身で海外に来ている外国人技能実習生の気持ちに寄り添い、親身に接することで迎え入れる気持ちを伝えていきましょう。