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ベトナム人の技能実習生を受け入れる際のポイント

外国人技能実習制度は、1993年の制度化以来、日本の高度な技能や知識を開発途上国等に移転するための「人づくり」という旗のもと、その受入人数を拡大してきました。しかし、その高邁な思想とは裏腹に、送出機関や受入側である日本の一部の不逞な機関の搾取などによって、制度の存在意義がたびたび疑問視されてきました。ベトナム人技能実習生が外国人技能実習生の大半を占めるに至った今日、彼らの失踪問題やその要因ともいえる実習環境の実態にメスが入り、2017年11月、法令の整備とともに制度の改正が行われたところです。

今回は、この制度の過渡期において、適法かつ適切に技能実習生を受け入れるためのポイントについて解説するので、ご参考ください。

ベトナム人技能実習生の受け入れ現状

2018年末における「在留資格別在留外国人数の推移(法務省発表)」によれば、技能実習生の総数は過去最高の328,360人を記録しました。この年までの推移を見ると、2014年(167,626人)、2015年(192,655人)、2016年(228,588人)、2017年(274,233人)、と毎年急激な増加数を示しており、2018年は5年前のおおよそ2倍に達しています。

日本への送出国ナンバーワンはベトナム

これを出身国で見ると、2018年末はベトナム164,499人、中国77,806人、フィリピン30,321人、インドネシア26,914人と続きます。ベトナムが技能実習生全体の約半数を占め、その多さが際立っています。これは、ベトナムが、いわゆる「労働力輸出政策」のもとで、国策として40以上の国と地域に「非熟練労働者」を送り出していることが関係しています。

2017年にベトナムが送り出した労働者の総数は134,751人(うち女性53,340人)で、そのうち日本に送り出した労働者の数は、その当時最も多い台湾の66,962人(うち女性23,530人)に次ぐ54,504人(うち女性24,502人)でした。技能実習生の数を見れば意外な感じを受けますが、日本は建前上、外国人の「非熟練労働者」を受け入れていないため、外国人技能実習生として送り出されている非熟練労働者が多いと考えられます。

なお、近年、技能実習生について、「職業選択」、「転職・副業」、「居住移転」などの自由に関する人権問題がベトナム国内においても広く知られるところとなり、技能実習生よりも自由度が高いと信じられている「留学生」としての来日が増加し、出稼ぎの主要手段として急速に拡大した時期がありました。

しかし、留学という在留資格が、本来就業が認められないものであることに加え、その資格(学籍)を維持するために、昼は学校に通い、夜間のアルバイトで学費と生活費並びに本国の家族への仕送り分を稼がなければならないという過酷な環境に身を置くことになるため、留学という来日手段はすでに敬遠され始めているのが現状です。

技能実習生が来日するまでの問題点

神戸大学大学院の斎藤善久准教授の「連合総研レポート(2018年5月号)」寄稿文によれば、ベトナムからの技能実習生と留学生(実質的に就労目的)が来日するまでに直面する問題は、在留資格の違いに関係なく共通しているといいます。

一つ目は、来日を意識したときに拠りどころとなる情報の正確性の問題です。来日後の技能実習やアルバイトによって得られる収入などは、実際よりも大きな金額が示されているといいます。この媒体となっているのが、ブローカーや送出機関、日本側の求人担当者なのです。

技能実習生の場合、失踪防止の観点から、実習先の所在地や企業の状況を来日する直前まで明らかにしない送出機関があり、このような場合、技能実習生のほか留学生についても契約書面を送出機関が保管し、本人に開示しないことが非常に多いと言います。

二つ目は、技能実習生が送出機関に支払う手数料やブローカーへの高額な謝礼の支払を指摘しています。送出機関の手数料は4,500ドルから7,000ドルと高額であり、しかも、これに加えて留学先の初年度納付金の前納も求められます。これだけでも負担が大きいのに、このほかにブローカーへの謝礼があるのですから、たまったものではありません。

この、ブローカーに対する謝礼についても、高いものは数千ドルに及ぶこともあり、送出機関が全寮制で行う教育にかかる授業料や生活費なども必要なことから、これらを全て合わせると平均して100万円を超える経費が必要となります。

また、前出の斎藤准教授は、技能実習生の手数料が高額になる背景として、日本側の一次受け入れ団体(監理団体)からの金銭や接待の要求、ベトナムの行政システムにおける賄賂の蔓延などを指摘しており、留学生については、留学先日本語学校への納付金の一部が送出機関にキックバックされる契約となっていることも納付額高額化の要因としてあげています。

根拠法の整備とベトナムとの二国間取決め

このように制度運用上の深刻な問題をはらんだまま今日に至っているわけですが、最近、日本の法令に変化がありました。外国人技能実習生の受入れにあたっては、これまで「出入国管理・難民認定法」と附属法令を根拠としていましたが、外国人実習生の失踪問題や、本来はできないはずの保証金徴収をしている等の不適正な送出機関が存在することなど、技能実習生の保護体制が不十分であるとの認識から、2017年11月1日に、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下、「技能実習法」)」が施行されました。

この法律では、制度趣旨の徹底を図るため、第3条第1項において、「技能実習は、技能等の適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならない。」と明文化し、さらに同条第2項において、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」と釘を刺し、「人づくり」という本来目的の達成意志を強く示しています。

この法改正により、国内における監理団体のあり方にメスが入りました。法改正後は、監理団体は許可制となり、許可の基準や欠格事由、遵守事項、報告の徴収、改善命令、許可の取消し等が明文化(技能実習法第23条~第45条)されたのです。この監理団体規制のほか、「人づくりによる国際貢献」の実効性を確保するため、技能実習生に対する人権侵害行為等に関する禁止規定等を設け、技能実習生の保護を図るための規定が整備されたところです(同法第41条~第51条)。

また、この制度趣旨徹底の一環として、日本と技能実習生の送出国との間では、外国人技能実習生の受入れの中心となる監理団体の許可手続きの簡略化や、前述した保証金徴収等を行う不適正な送出機関の排除などを目的に、「二国間取決め」が順次進められており、2019年末では、この相手国は15か国を超えました(国際研修協力機構・JITCO資料)。

この二国間取決めに基づく認定送出機関数もまた、ベトナムが最も多い338機関となっており、この関係性の強さから、この二国間取決めに加えて、日本の厚生労働省とベトナム国労働・傷病兵・社会問題省との間では、2017年11月1日の技能実習法の施行と合わせ、「技能実習に関する協力覚書」が合意・発効し、ベトナム人技能実習生の実習環境の整備を強化したところです。

以上のような法令の整備があったとはいえ、従前の悪習を正し、本来目的に則った運用とするためには、両国の実施主体(送出団体と監理団体)が自らの襟を正すことができるか否かにかかっているといえます。

ベトナム人技能実習生の特徴

ベトナム人技能実習生の特徴や人柄については、多くのサイトで紹介されていますが、ベトナム人という捉え方では一般的に次のように評されることが多いようです。

1)ベトナム人の4k(「器用」、「向上心・向学心旺盛」、「近視眼的」、「カカア天下」)

着物や帯の刺繍などで不良品率が1%未満、アジアのロボコンではベトナムの大学が優勝を含め上位入賞することが多い、オーダーメイド服の制作は数日で完成させるなど、器用さを物語るエピソードは豊富にあります。

また、ベトナム人は、ダブルスクールや習い事をしている人の割合が多いことでも知られており、教育熱心なことでも有名です。これは、儒教の教えが根底にあると言われ、自身の価値を高める意欲が強い国民といわれています。

近視眼的という点では、金銭感覚を例にとって紹介されることが多く、「明日の100万円より今日の100円」という考え方が強いといわれ、目の前の稼ぎを重要視する性向があるとされます。ベトナム戦争や急激なインフレの経験など、たえず先の見えない中で生活を送ってきたことが影響しているのではないでしょうか。

「カカア天下」については、ベトナム戦争で男手のなかったことで、女性が家と地域社会を守り抜いた歴史がそのままその地位を高めた結果と言えます。

2)高いプライドと論理性

4kで明らかなように、自身の価値を高めようという意志の高さは、強烈なプライドにつながり、それが行動の慎重性につながっているといわれます。すなわち、自身のプライドを傷つけたくないが故に失敗を恐れ、確実に自分ができると判断できることにしか着手しません。これは、実習現場に置きかえると、人前での失敗に対する叱責や、強い口調・態度での指導などは控えなければならないことを意味します。

また、このような性向から、理屈を重んずる風潮もあるようです。プライドが高く向上心に富むため、考え方はいたって合理的です。自分が納得できなければ着手しないため、そのことをやることで、実習生自身にとってどの様なメリットにつながるかを粘り強く説くことが求められます。

これらはベトナム人の平均的な見立てであり、当然、パーソナリティによる違いもあるため、細やかな気配りが必要だと考えられます。前述のように、失踪問題はいまも受け入れ側、実習者側の双方に横たわるリスク要因であることを意識する必要があります。

ベトナム人技能実習生を受け入れる際のポイント

失踪問題やその要因とされる実習環境(送出国・受入企業の姿勢を含む)の改善は必須ですが、日本での「生活」や「仕事」そのものに対するイメージや実感など、現在、実際に実習実施機関で学んでいる実習生の実態を知ることが、受入を成功させるための大きなヒントとなります。

ここで、実習生を受け入れるに当たってのポイントを探る上で有益と思われる調査結果がありますので、その内容を紹介しながら、受入の成功要素をみていきます。作業系派遣大手のUTグループ株式会社が、自社が管理サービスを提供している外国人技能実習生に対して実施した実態調査(2019年5月16日)結果として、「生活」や「仕事」に関し、次のように整理しています。なお、この対象者のほとんどがベトナムからの技能実習生です。

(表1)UTグループ株式会社が実施した実態調査結果の主な項目(同社の公式サイトより抜粋引用)

  • ・実施時期:2019年4月
  • ・回答数 :772人
  • ・調査方式:アンケート用紙を配布して回収(無記名方式)
  • 《回答者の属性》
  • ・性別:男性405人(52%)、女性367人(48%)
  • ・年齢:18歳~19歳(30人・4%)、20歳~24歳(384人・50%)、25歳~29歳(283人・37%)、30歳~34歳(49人・6%)、35歳~39歳(26人・3%)
  • ・国籍:ベトナム763人(99%)、ミャンマー9人(1%)
  • 《調査時点における実習期間》
  • ・6カ月未満:76人(10%)、6カ月以上1年未満390人(51%)、1年以上2年未満213人(28%)、2年以上3年未満92人(12%)、回答無し1人
  • 《実習先》
  • 極端な偏りがなく23都府県にまたがっています。
  • 《調査結果の概要》
  • 1)実習期間が終了した後、「再度来日して日本で働きたい」と回答した人は692人で90%
  • 2)手取り月収は「10万円~15万円未満」との回答が最も多く64%。次いで、「15万円以上20万円未満」で22%でした(なお、この金額は、法定福利費のほか、社宅個人負担分、個人使用食事代等を控除した金額です。)
  • 3)1か月あたりの母国への仕送り額は、「5万円以上10万円未満」が315人・42%で最も多く、次いで、「10万円以上」が164人・22%でした。
  • 4)現在の給与に満足しているかという問いでは、「満足している」が231人・30%、「満足していない」が157人・21%、「どちらでもない」が376人・49%となっています。
  • 5)実習生として来日するにあたり現地でかかった学費等は、「10万円以上50万円未満」が308人・41%で最も多く、「100万円以上」という回答も156人・21%にのぼります。この調達方法として、「銀行から借りた」が413人・54%で最も多く、次いで、「親や親族に助けてもらった」で350人・46%です。
  • 6)来日前に勉強した日本語については、85%が「現在の仕事で通用する」と回答していますが、一方で、62%の実習生が「職場での方言を使った会話で困ることがある」と回答しています。現在の日本語能力については、日本語能力検定試験N5が352人・46%、N4が321人・42%、N3で80人・11%となっています。
  • 7)提供を受けている管理サービスで役立っているものは、「スマートホン貸与」が88%で最も多く、次いで「住居や家具の手配」が83%、「病院への付き添い」が73%、「日本語学習サポート」が63%、「外国人スタッフの存在」が42%でした。
  • 8)日本の生活環境は来日前に想像していたとおりかとの問いには、「想像より良い」が288人・38%、「想像していた通り」が381人・50%、「想像より悪い」が95人・12%です。

(表1)に示した項目のほかにもいくつか質問しており、職場にいる日本人との人間関係についてみると、「良い」との回答が421人・55%、「良くない」が1人、「どちらでもない」が343人・45%となっています。

「職場の上司に怒られたとき、理由が分からないことはあるか」との問いに対しては、「ある」と回答した人が58人・8%、「ない」が445人・58%、「怒られたことがない」が267人・35%となっており、この調査における人間関係については比較的良い状態と言えます。

受入れ先が23都府県にわたっており、それぞれの職場のある地域特性や環境までは分かりませんが、この結果からは、受入企業(実習機関)の実習生に対する日常的な配慮がうかがえます。この部分は、受け入れに当たってかなり重要なポイントとなります。

給与について見ると、法務省の失踪者調査では、「企業側に不正がなかったことが明らかであるとの判断基準」の中に、月額給与の額が15万円以上であることと、労働時間が40時間以下であることという要件が含まれています。これと(表1)の調査結果を勘案すると、金額的には15万円がボーダーラインと言えるかもしれません。

なお、法務省の調査において発見された不正行為においては、給与額や労働時間に大きな問題があることが指摘されています。給与を月額6万円しか支給せず、時間外労働の割増賃金も全く支払わないといった悪質なケースが多く見られたとのことで、不正行為の根絶が大きなポイントとなります。

また、(表1)の調査では、来日前の動機についても質問しており、「高い収入が得られる」と回答した実習生が65%と最も多く、次いで「日本の文化に興味があった」が46%、「高い技術を学べる」が43%という結果が出ています。高収入に期待するのは、「技能実習生が来日するまでの問題点」で指摘したように、送出機関と受入機関のこれまでの不誠実な対応が影響を与えていると考えられます。

一方で、高い技術を学ぶと言う姿勢は、外国人技能実習制度の根幹部分ですので、実習実施機関は、実習生が帰国してベトナムの経済に貢献できるだけの技術を習得させる義務を負っていることを忘れてはなりません。この部分の満足度を高めることもまた、技能実習生を受け入れるに際しての重要なポイントとなります。

給与と労働時間以外では、(表1)の7)と8)が参考になります。生活面を含めた言葉の問題への対応は、技能実習生が実習に専念し、効果的に技能を習得・習熟するためには欠かせないものです。作業系が多い技能実習において、例えば工事現場等が実習場所となるような職種では、言葉が通じないことで労災事故につながる可能性が高くなることも意識する必要があります。

技能実習生を受け入れる際の注意点

技能実習生を受け入れるためには、まず「技能実習計画」の認定を受けいれる必要があります。この計画の作成やその他の事前準備を含め、受入れにあたって遵守すべき法定事項等注意すべき点を、以下に整理します。

技能実習生の受入れ人数の上限

実習実施者(受入企業)が受け入れる技能実習生については、企業の規模等に応じて受け入れることのできる上限数が定められています。基本人数枠、団体監理型の人数枠、企業単独型の人数枠は以下の通りです。

(表2-1)基本人数枠

実習実施者の常勤の職員の総数 技能実習生の人数
301人以上 常勤職員総数の20分の1
201人~300人 15人
101人~200人 10人
51人~100人 6人
41人~50人 5人
31人~40人 4人
30人以下 3人

(表2-2)団体監理型

通常の者 優良基準適合者
第1号(1年間) 第2号(2年間) 第1号(1年間) 第2号(2年間) 第3号(2年間)
基本人数枠 基本人数枠の2倍 基本人数枠の2倍 基本人数枠の4倍 基本人数枠の6倍

(表2-3)企業単独型

企業区分 通常の者 優良基準適合者
第1号

(1年間)
第2号

(2年間)
第1号

(1年間)
第2号

(2年間)
第3号

(2年間)
法務大臣及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行なわせる体制を有すると認める企業 基本人数枠 基本人数枠の2倍 基本人数枠の2倍 基本人数枠の4倍 基本人数枠の6倍
上記以外の企業 常勤職員総数の20分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の10分の1 常勤職員総数の5分の1 常勤職員素数の10分の3

(表2-4)受入人数におけるその他の注意事項

  • 1)常勤職員数には、技能実習生(1号、2号及び3号)は含まれません。
  • 2)団体監理型、企業単独型ともに、次の人数を超えることはできません。
  • (1号技能実習生:常勤職員の総数、2号技能実習生:常勤職員数の総数の2倍、3号技能実習生:常勤職員数の総数の3倍)
  • 3)特有の事情のある職種については、事業の所管大臣が定める告示で定められた人数となります。
  • 4)やむを得ない事情で他の実習実施者から転籍した技能実習生を受け入れる場合、上記の人数枠と別に受け入れることを可能とします。

技能実習計画と実習実施管理の重要性

技能実習実施者は、技能実習計画を作成し、「外国人技能実習機構」によりその計画が適当である旨の認定を受ける必要があります。技能実習計画への記載事項や申請時に添付すべき書類等については、技能実習法並びに技能実習法施行規則等の関連法令において規定されています。

技能実習計画は、技能実習生ごとに、第1号、第2号、第3号の各区分に応じて認定を受ける必要があります。また、技能実習の最終段階である第3号技能実習計画の場合、実習実施者が、「技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること」という要件が求められるため、一段ハードルが上がることを認識する必要があります。

実習実施者は認定を受けた技能実習計画に従って実習を行う責務があります。万が一計画と異なる実習が行われるなど違反があった場合は、改善命令や認定の取消しの対象となりますので、実習の実施管理は重要なポイントとなります。なお、技能実習計画の主要な認定基準は以下の通りです。

(表3)技能実習計画の主要な認定基準

  • 1)修得技能等の要件(技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること)
  • 2)技能実習の目標の要件
  • 《第1号の目標》
  • ・技能検定基礎級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験及び学科試験への合格など。
  • 《第2号の目標》
  • ・技能検定3級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験への合格。
  • 《第3号の目標》
  • ・技能検定2級又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験への合格。
  • 3)技能実習の内容の要件
  • ・同一の作業の反復のみによって習得できるものではないこと。
  • ・第2号及び第3号については、移行対象職種・作業(主務省令別表記載の職種及び作業)に係るものであること。
  • ・技能実習を行う事業所で通常行う業務であること。
  • ・移行対象職種及び作業については、業務に従事させる時間全体の2分の1以上を必須業務とし、関連業務は時間全体の2分の1以下、周辺業務は時間全体の3分の1以下とすること。また、必須業務、関連業務、周辺業務のそれぞれについて、従事させる時間のうち10分の1以上を安全衛生に係る業務を行うこと。
  • 4)技能実習生の要件
  • ・年齢・制度趣旨理解
  • ・業務経験
  • ・送出国の公的機関からの推薦
  • ・修得技能等の現地活用(帰国後、修得等した技能等を要する業務に従事する予定があること)
  • ・一旦帰国(第3号の技能実習生の場合は、第2号終了後に1か月以上帰国していること)
  • ・再度の技能実習の原則禁止
  • 5)技能実習の要件
  • ・保証金や違約金契約の禁止
  • ・人権侵害行為が行われていないことの定期確認
  • 6)入国後講習の要件
  • ・第1号の技能実習生に対する入国後講習、入国後講習に専念するための措置
  • 7)複数の職種及び作業の要件
  • ・複数職種の場合は、2号移行対象職種、相互関連性、実施の合理性があること
  • 8)実習実施機関の要件
  • ・第1号は1年以内、第2号及び第3号はそれぞれ2年以内であること
  • 9)目標達成の要件
  • ・前段階における技能実習の際に定めた目標が達成されていること
  • 10)技能等の適正な評価の実施
  • ・技能検定、技能実習評価試験等による評価を行うこと
  • 11)適切な体制、事業所の設備、責任者の選任の要件・・・(表3-2)参照
  • 12)実習監理の要件
  • 13)日本人との同等報酬等、技能実習生に対する適切な待遇の確保・・・(表3-2)参照
  • 14)労災保険措置の要件
  • 15)帰国旅費負担の要件・・・(表3-2)参照
  • 16)優良な実習実施者の要件(第3号技能実習の場合)
  • 17)技能実習生の受入れ人数枠の要件・・・(表2-1~2-4)参照

技能実習生の受入準備の要点

技能実習計画の作成と並行して、受入準備が必要となります。具体的には、(表3)の技能実習計画の認定基準に含まれる、実習実施者としての技能実習指導体制を整備するとともに、技能実習生の待遇についても法令に適合したものにする必要があります。

(表4) 受入準備項目(技能実習法及び同法施行規則で規定された整備事項)

整備項目 内容
実習実施者の指導体制 1)技能実習責任者の設置 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員であって、技能実習指導員、生活指導員等を監督し、技能実習の進捗状況全般を統括管理します。要件として、過去3年以内に技能実習責任者講習を修了していることが求められます。
2)技能実習指導員の設置 実習実施者またはその常勤の役員もしくは職員であって、修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有する技能実習を行う事業場に従事する者で技能実習の指導を行う必要があります。
3)生活指導員の設置 実習実施者またはその常勤の役員若しくは職員であって、技能実習を行う事業上に従事する者で技能実習生の生活の指導を行う必要があります(一般的に必要な事項のほか、ベトナム人であれば、その特徴や場合によっては出身地域の事情等も踏まえ、きめ細かな対応を心掛けたいところです)。
技能実習生の待遇 1)日本人と同等額以上の報酬 技能実習生の報酬額は、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上である必要があります。
2)適切な宿泊施設の確保 実習実施者はまたは監理団体は、技能実習生のために適切な宿泊施設を確保している必要があります(寝室は一人4.5㎡以上)。
3)監理費の負担 監理団体から徴収される監理費を直接または間接に実習生に負担させることは禁止されています。
4)費用負担の適正額 食費、居住費等技能実習生が定期的に負担する費用について、食事、宿泊施設等を十分に技能実習生に理解させたうえで合意し、その費用が適正である必要があります。
5)帰国旅費 帰国旅費については、企業単独型実習実施者または監理団体が負担することになります。また、第2号技能実習を行っている間に第3号技能実習の技能実習計画の認定申請を行った場合には、第3号技能実習開始時の日本への渡航費用についても第3号技能実習を行わせる企業単独型実習実施者または監理団体が負担することになります。

このほか、技能実習生を受け入れたときは、労働基準法や労働安全衛生法及び労働組合法に適合した待遇とするとともに、社会保険ならびに労働保険への加入も必要となります。労働関係法令の適用順位は、「法令」、「労働協約」、「就業規則」、「労働契約」の順となりますので、労働契約締結にかかる労働条件は、就業規則、労働協約、法令のいずれの要件も下回ってはならないことに注意しなければなりません。

まとめ

ベトナム人技能実習生の受入れにあたって重要なポイントを整理してきましたが、制度趣旨や技能実習にかかるアウトラインはつかめたでしょうか。技能実習生に占めるベトナム人の比率は大きく、現状では、彼らへの対処の仕方がそのまま外国人技能実習制度の成否につながると言っても過言ではないでしょう。

様々な問題を抱えながらも、法令整備など制度の見直しによって、実習生の保護措置の強化が図られたことで、制度の本来目的に適った運営となるよう受入側の果たすべき役割も大きくなっています。制度趣旨に従い、適法かつ適切に彼らを育成することで、自社の戦力とすることも可能です。