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技能実習生の就労期間は?延長する方法も徹底解説!

労働力不足の日本において、外国人技能実習制度によって来日する実習生の働きに助けられているという企業は少なくありません。外国から来た実習生の中には非常に優秀な人も多く、ぜひこのまま企業に残ってほしいと思うこともあるでしょう。

また、職場に馴染んでくると、外国人技能実習生側が「このまま日本で働きたい」と希望してくれるケースもあります。外国人技能実習生の就労期間に期限はあるのでしょうか。当記事では、外国人技能実習生の就労期間や延長方法について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

技能実習生の就労期間は?

技能実習生の就労期間

外国人技能実習生は日本に来る際に、技能実習の在留資格が与えられます。在留資格は技能実習1号から3号まであり、それぞれの資格によって滞在できる期間が異なります。ここからは、技能実習資格ごとに滞在できる期間をみていきましょう。

技能実習1号の場合

技能実習1号の場合、滞在できる期間は1年のみです。技能実習1号は技能実習生が入国して初めて与えられる在留資格になるので、外国人技能実習生は全員が最短でも1年は日本に滞在できるということになります。

ただし、入国後は1ヶ月の講習を受けなければなりません。そのため、講習後に会社に配属され、実際に技能実習生として働けるのは実質11ヶ月ということになります。技能実習1号の資格がある実習生は、単純労働以外であれば幅広い職種で働くことが可能です。技能実習1号の場合、原則として2ヶ月の座学講習が必須になります。

技能実習2号の場合

技能実習2号は、実習2年目以降の技能実習生に与えられる資格です。技能実習1号の1年間が終了後、2号に移行することでさらに2年間滞在することができます。2号に移行するためには1号終了後に技能検定基礎級相当の学科や実技試験に合格し、移行の手続きをしなければなりません。

移行の申請は地方出入国在留管理局に行い、許可が下りたらJITCO(公益財団法人国際人材協力機構)の地方駐在事務所に報告書を提出します。また、2号に移行できるのは86職種158作業となっており、2号移行が認められていない職種の場合は1年間の技能実習期間終了後は帰国しなければなりません。

技能実習3号の場合

技能実習3号は「技能の熟達」のための活動を目的とし、技能実習2号終了後の実習生に与えられる在留資格です。技能実習4~5年目の実習生に与えられます。3号に進むためには、技能実習2号の人が技能検定3級相当の実技試験に合格をする必要があります。

ただし、2号移行対象職種であっても、3号に移行できる対象職種とは限りません。さらに、技能実習生を受け入れる企業側にも条件があります。実習実施者と監理団体の両者が「優良」認定を受けていないと受け入れることができないので注意が必要です。

このように技能実習1号が1年、2号が2年、3号が2年と滞在期間が決められています。3号まで受け入れられる企業で、なおかつ実習生が試験に合格するなど1号から3号までスムーズに進むことができれば最長5年間日本に滞在できるということになります。

技能実習生の就労期間を延長する方法

技能実習生の就労期間を延長する方法

外国人技能実習生が5年勤務を続けると、だいぶ仕事も覚えてきて頼りになる存在になってくることでしょう。「ぜひこのまま企業に残ってほしい」と思う企業も少なくありません。

とはいえ、技能実習制度では5年が滞在できる限度になっており、それ以上の延長はできません。将来的には4号以降の在留資格が作られることに期待したいところですが、現在はそのような予定はありません。ここからは、技能実習生を滞在期間終了後も働いてもらう方法について解説していきます。

特定技能1号に切り替える

まずは、特定技能1号に切り替えるという方法です。特定機能1号の概要や条件、手続き方法をみていきましょう。

概要

「特定技能制度」は、専門的な技術や技能を持っている外国人の受け入れを目的とする制度です。技能実習2号が良好に修了していれば、移行の手続きを取ることができます。特定技能1号と2号がありますが、熟練した技能を要する2号はほとんど取得する人がいないのが現状です。

特定技能1号の在留期間は5年が上限となっていますが、1年、6ヵ月または4ヵ月ごとの更新が必要です。技能実習1号から3号まで進み、その後に特定技能に切り替えることで最大10年まで滞在することが可能になります。

特定技能2号の場合は在留制限がありません。更新手続きは必要になりますが、滞在期間に制限がないため永住することも可能です。ただし、特定技能2号は建設分野と造船・舶用工業分野に限られています。

条件や注意点

特定技能の受け入れが可能な分野は、下記の12職種です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

特定技能は在留期間を延長することができますが、雇用契約の延長ではありません。そのため、実習生が他の職場への転職を希望すれば阻止することはできないため注意が必要です。特定技能を取得して、そのまま企業に残ってもらうためには働きやすい環境づくりなど企業側も努力する必要があるでしょう。

就労ビザへの変更

そもそも技能実習制度とは日本で技術を取得し、それを母国へ持ち帰ることを目的とした制度です。そのため、基本的には日本で働き続けるのではなく、母国へ帰る必要があります。ただし、例外的に就労ビザへ変更できることもあります。就労ビザの概要や条件をみていきましょう。

概要

就労ビザとは、外国人が日本で報酬を得るために仕事をすることができる資格のことです。優秀な技能実習生が修得した知識を活かした業務を行ったり、講師として働いたりする場合に就労ビザを獲得することができる可能性があります。

ただし、業務内容は修得した内容と今後の仕事内容に関連性がなければなりません。たとえば、機械工学を学んできたのに通訳や翻訳といった業務に対する就労ビザへの変更は認められません。機械工学であればエンジニア、通訳や翻訳の仕事をしたいのであれば語学関係の技能を習得しておく必要があるでしょう。

条件や注意点

就労ビザへ変更するためには、いくつかの条件を満たしていなければなりません。中でも日本語能力は大きなポイントとなり、N2相当以上の日本語能力があると認められる必要があります。そのためには、計画的に試験を受けるなどの準備をしておきましょう。

また、日本に入国した時は「母国に技能を持ち帰ること」が目的だったにもかかわらず、途中で目的が変わったことに対して合理的な説明ができるようにしておかなければなりません。たとえば「監理団体からの勧めで、技能や知識を使って日本で〇〇の仕事をしたいと思った」などと、経緯を説明するようにしましょう。

再び技能実習で雇用する

次の方法は「再び技能実習制度を活用する」という方法です。技能実習終了後、一度母国に帰って再度技能実習生として来日する方法です。再度技能実習で来日するためには、2つのパターンが考えられます。

  1. 母国で一度就労した後に、他の作業内容で技能実習制度を利用する
  2. 帰国後に同業種で技能実習を申請する(ただし作業内容は移行職種以外を選択すること)

どちらの方法を使うにしろ、再び技能実習制度を利用するというのはかなり高度な方法です。ハードルも高くなるため、必ずしも許可されるとは限りません。帰国したは良いけれど、結局日本に帰ってくることはできなかったというケースもあるので注意しましょう。

技能実習と特定技能の違い

技能実習と特定技能の違い

ここからは、先述した「特定技能」について、もう少し分かりやすく解説していきます。それぞれの目的や方法、期間の違いを知っておきましょう。

受け入れ目的

最初の違いは「受け入れ目的」です。外国人技能実習制度は、開発途上国出身者が日本で働くことで技術を学ぶ制度になります。その習得した技術を母国に持ち帰り、広めることで開発途上国の発展を促すという国際貢献を目的としています。

「特定技能制度」は2019年4月から始まった制度です。一定の専門性・技能を持った外国人を受け入れることで、国内で不足している働き手を確保することを目的としています。そのため、国内で人材の確保が難しい産業分野のみで外国人を受け入れることが可能です。

受け入れ方法

転職の可否

技能実習生は転職不可ですが、特定技能であれば転職も可能です。そもそも技能実習は、実習を通して技能を習得することを目的としているので転職という概念はありません。企業都合での移籍や、2号から3号に移行する際の転職のみ認められます。

一方で「特定技能」は就労資格となるので、同じ職場で働き続けなければいけないという制限はありません。同一分野の職種である必要はありますが、条件を満たしていれば転職自体も可能です。より条件の良い職場で働くこともできるので、外国人にとってもメリットの多い資格といえるでしょう。

人数制限

一企業が受け入れられる人数にも違いがあります。「技能実習」は、実習生が特定の技能を習得しなければなりません。企業の担当者が外国人技能実習生に対して適切に指導を行い、技能を習得させられるように受け入れ人数には限りがあります。

反対に「特定技能」は、働き手不足を解消することが目的です。そのため、受け入れ人数は無制限です。とはいえ、一度に大勢の特定技能生を受け入れてしまうと、一斉に帰国した際に企業の労働者が不足する事態に陥ってしまいます。

さらに、建設分野や介護分野では人数制限が設けられているので注意が必要です。建設では受け入れ企業の常勤職員の人数まで、介護分野では事業所単位で常勤介護職員の人数までと決められています。

家族滞在の可否

「家族滞在」とは、資格を持っている人の家族が日本に在留できるかどうかという点です。基本的に技能実習や特定技能1号では家族滞在が認められていません。しかし、「技人国」と呼ばれる「技術・人文知識・国際業務」の専門資格においては家族滞在が可能です。

「技人国」の具体的な職種としては、プログラマーやエンジニア、設計者、総務、経理、規格、デザイナー、翻訳・通訳といった仕事が挙げられます。「技人国」の仕事に就労して3ヶ月以降であれば、家族ビザの申請が可能です。

また、「特定技能2号」では配偶者と子供に限り、母国から日本に呼び寄せることができます。ただし、先述したように特定技能2号は非常に条件が厳しいため、取得している外国人はほとんどいないのが現状です。さらに分野も限られており、現在では建設分野と造船・舶用工業分野に限り特定技能2号資格を取得できることになっています。

外国人技能実習制度とは

外国人技能実習制度

最後に「外国人技能実習制度」について、簡単に解説していきます。外国人技能実習制度とは、ベトナムやインドネシア、フィリピンといったアジア圏の発展途上国から外国人労働者を日本に受け入れる制度です。

外国人技能実習生は日本の高い技術を習得し、母国に持ち帰ることで国の発展を助けることにつながります。日本においても労働力が不足しているのが現状であるため、外国人技能実習生を受け入れることで人材を確保できるというメリットがあります。つまり、外国人技能実習制度は来日する外国人にとっても、受け入れる企業にとってもメリットのある制度なのです。

まとめ

技能実習生の就労期間

外国人技能実習生の就労期間や延長する方法について解説してきました。外国人技能実習生は1号から3号までの在留資格があり、1号から3号までスムーズに進めば最長5年の滞在が認められます。とはいえ、すべての業種において2号や3号への移行が認められているわけではないので、注意が必要です。

外国人技能実習生は母国に習得した技術を持ち帰ることが目的であるため、滞在期間を延長することはできません。ただし、特定技能に切り替えて適切に更新手続きを行うことで、最長10年間は日本で働くことができるようになります。

出身国に限らず有能な技能実習生にはぜひ企業で働いてほしいと思うのは当然です。技能実習生側からも「このまま働きたい」と思ってもらえるよう、働きやすい職場環境を作るなど企業としての努力も怠らないようにしましょう。