近年、町の中で外国の方を見かけることが珍しくなくなりました。外国人が流ちょうな日本語で話している姿を見ると、驚きとともになんだか嬉しい気持ちにもなりますよね。

同じ日本人でも互いに理解するのが難しいことはありますから、外国人ともなれば、理解するのが難しいのは当然と言えます。同じ職場で外国人技能実習生が働いている場合、コミュニケーションするのに戸惑ってしまうのは仕方がありません。

おとなしくて礼儀正しいという、ステレオタイプな日本人とはかなり違うタイプの日本人もいるように、同じ国の人でも性格の違いはあります。しかし技能実習生の国別の違いを理解すれば、少しでもコミュニケーションがしやすくなることでしょう。

そこでこの記事では、外国人技能実習生の国別の特徴や、受け入れ企業が仕事する上で知っておくべきポイントなどについてお伝えしていきます。技能実習生を受け入れたいと考えているときは、どんな国の人材が仕事に適しているかの目安にしてみてください。

外国人技能実習生の国別の特徴と基礎データ

外国人技能実習生として日本に来ている人が多いのは、①ベトナム ②中国 ③フィリピンで、インドネシアとタイが続きます（令和元年6月末の法務省データより）。中でもベトナム人は全体の51.4%で、技能実習生全体の半数以上を占めています。

では、さっそく技能実習生の国別の特徴と基本データを国別に見ていきましょう。

面積、人口、宗教割合などの数字は概算です。

ベトナム人技能実習生の特徴

純粋で人情味あふれる温かいタイプが多いです。向上心が高く、物事に積極的に取り組みますし、手先も器用ですので、さまざまな仕事に向いています。我慢強くて途中で投げ出すことなく、物事をやり遂げる能力も高いので、日本人とは付き合いやすいと言えます。

素直でおとなしいのですが、人前で怒られるようなことはとても嫌いますので、注意するときには気をつけてあげるといいかもしれません。日本語への学習意欲が高く、驚くほど上達が早い人もいますので、信頼できる仕事仲間になれます。

計画を立てて行動することは苦手ですので、その辺りをサポートするとスムーズに仕事を進められるでしょう。新しいことにチャレンジする意欲は人一倍ありますので、この点は日本人も見習うべきかもしれません。家族や人とのつながりをとても大切にしています。

中国人技能実習生の特徴

明るくて真面目で家族に対する愛情が深いタイプが多いです。日本人とは漢字でもコミュニケーションできますので、仕事の説明はしやすいでしょう。言われたことはきちんとやりますが、言われていないことはやりませんので、指示は曖昧にしないように気をつけます。

外国人技能実習生は何か説明したときに「わかりました」と言うものの、実は理解できていないことがよくあるのですが、中国人はハッキリと「わかりません」と返してきます。日本人的な感覚では明確な物言いに少し驚くかもしれませんが、わかったフリをされるよりも説明しやすいと考えましょう。

損得勘定が強いのも特徴的ですが、一度仲良くなれば家族のような深い絆で結ばれることもあります。

フィリピン人技能実習生の特徴

健康的で元気いっぱいな非常に明るいタイプが多いです。英語が公用語ですので、日本語以外に英語でのコミュニケーションもできます。とにかく明るいので、仕事場の雰囲気作りにも一役買ってくれることでしょう。

公用語であるフィリピン語と英語の他にもいくつかの言語を話せることもあり、語学力がとても高いです。そのため、日本語も短時間でマスターする人が多いので、コミュニケーションしやすいです。

一緒に働いていると、家族のように気さくなつき合いができることもあります。体が丈夫で、病気で仕事を休むことが少ないところも評価できるポイントです。

インドネシア人技能実習生の特徴

素朴で礼儀正しく、おおらかで優しいタイプが多いです。素直でさっぱりしているので、注意してもずっと根に持つということがあまりないので、争いを好まない日本人とは仲良くしやすいと言えるでしょう。

7,100以上もの島からできている国ですので、日本の小さな島の島民と似ている部分もあり、のんびりしています。そのため、納期に対する考えも緩やかですので、この部分は少し気をつけるといいかもしれません。

楽観的で人に対して怒ることがほとんどなく、困っている人を積極的に助けることは当たり前です。親日国として有名です。

タイ人技能実習生の特徴

穏やかで優しく、目上の人を尊重するタイプが多いです。タイといえば「微笑みの国」として有名なように、どんな時でも笑顔を忘れません。礼儀正しくて、おとなしくて真面目なので、仕事に対する姿勢も真剣そのものです。

ただおおらかな分少しルーズな部分や、困っている時に相手を傷つけないように微笑んでしまうという部分もありますので、これらの特性に気をつけて仕事の説明をする必要があるかもしれません。

タイの人は小さな頃から「怒らないように」と教えられているため、悲しみや苦しい気持ちを表情に出さないこともありますので、気遣いを忘れずに接したいものです。親日国として有名です。

カンボジア人技能実習生の特徴

純粋で勤勉でおとなしいタイプが多いです。目上の人を敬い、上司の言うことに対して非常に従順なところがあります。日本がカンボジアに多大な援助をしていることから、日本にとても大きな信頼と感謝を寄せています。

豊かな生活はできないながらも治安が良いところは、国民のほとんどが敬虔な仏教徒ということに関係しているでしょう。感謝するときに手を合わせて「ありがとうございます」と言うところは、日本人と共感できる部分です。

素直で優しすぎるため上司に意見することができないので、話し合うときにはその点を十分考慮して接したいものです。

ネパール人技能実習生の特徴

おおらかで明るく前向きなタイプが多いです。エベレスト山を筆頭に、山々に囲まれた雄大な暮らしが、愛情深い性格を育んだのでしょう。先輩を敬い、後輩に対して面倒見のいいところは日本人とよく似ています。

宗教に関しておおらかなところも日本人と似ていると言われています。たくさんの神様が混在していて、人の宗教が自分の宗教と違っていても、特に気にすることなく他人の考えを尊重します。

日本の八百万の神という考え方もネパールの人にとっては、普通のこととして受け止められるため、日本の暮らしにはなじみやすいでしょう。日本に対しての憧れが強いので、日本語の習得にはとても熱心です。

ミャンマー人技能実習生の特徴

真面目で手先が器用な優しいタイプが多いです。国民の95%が仏教徒で、目上の人をとても敬うところは古き良き日本人のようです。食べ物や宗教の面で、日本の暮らしに溶け込みやすいので、特別なサポートを必要としません。

文字は大きく違うのですが、ミャンマー語と日本語は文法がよく似ているので、ミャンマー人にとって日本語は習得しやすい言語です。おっとりしていておとなしい人が多いので、日本人ともよく気が合いますが、のんびり屋さんが多いので時間感覚は少し違います。

いつも笑顔がステキなミャンマー人ですが、男性はややプライドが高く注意されたり間違いを指摘されたりすることを嫌いますので、遠回しにやんわり注意するなど気をつける必要があります。

日本に対する憧れが強く大変な親日家が多いので、ミャンマー人にとって日本で働くことは大きな喜びとなるでしょう。

まとめ

外国人技能実習生の国別の特徴や、仕事する上で知っておくべきポイントについてお伝えしました。どんな内容だったか、あらためてふり返ってみましょう。

・日本に来ている外国人技能実習生が多い国は、①ベトナム ②中国 ③フィリピン
・技能実習生のうち、ベトナム人の割合は半数以上
・ベトナム人技能実習生の特徴は、純粋で人情深い
・中国人技能実習生の特徴は、真面目で家族思い
・フィリピン人技能実習生の特徴は、健康的で元気いっぱい
・インドネシア人技能実習生の特徴は、素朴で礼儀正しい
・タイ人技能実習生の特徴は、笑顔で怒らない
・カンボジア人技能実習生の特徴は、勤勉でおとなしい
・ネパール人技能実習生の特徴は、おおらかで面倒見がいい
・ミャンマー人技能実習生の特徴は、真面目で古き良き日本人と似ている

西洋の人から見てアジアの人はみんな同じに見えるように、日本人から見ると技能実習生の特徴を国ごとに区別するのは少し難しいかもしれません。それでも同じ職場の仲間ともなれば、どんな国から来てどんな環境で育ったかなど興味を持つのは当然のことですよね。

技能実習生が理解できないような行動をしたとしても、その国では自然なことかもしれないのです。「日本の常識、世界の非常識」とよく言われるように、日本での常識が世界では非常識となることもあるように…。

海外から遠い日本にはるばるやってきた技能実習生の方とスムーズにコミュニケーションするためには、まずはこちらが興味を持って声かけをして…そして、人間として素直な気持ちで付き合うことが大切なのではないでしょうか。

この記事には「ありがとう」「こんにちは」というあいさつの基本を載せましたので、ちょっと近づくつもりで母国語を使ってあいさつをしてみるのもいいかもしれません。技能実習生とは最初は言葉でのコミュニケーションはあまりできないかもしれませんが、きっと気持ちは伝わります。

参考：外務省（アジア）

参考：ウィキペディア